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共通テスト英語のリスニング対策とは?配点や学習手順について解説
大学入学共通テストの出題教科・科目のひとつである「英語」(以下、共通テスト英語)では、「リーディング」といった目で読む試験だけでなく、「リスニング」という耳で聞く試験がそれぞれ実施されます。リスニングに対して苦手意識を持つ人も少なからずいると思いますが、どのように英語のリスニングスキルを高めればいいのでしょうか。
ちなみに、英語の基本的な語彙力が不足していたり、長文読解に苦手意識を持ったりしたまま、いきなり共通テスト英語のリスニング音声を聞いていても、あまり効果はありません。共通テスト英語のリスニングをどのように学習すればいいのか、その正しい手順についても理解しておくことが重要です。
この記事では、共通テスト英語の配点といった基本情報とリスニングにおける対策のほか、学習手順や英語のリスニングスキルを高める方法について解説します。
この記事の目次
共通テスト英語の基本情報
共通テスト英語は、リーディングとリスニングで構成されており、全問マークシート式です。2022年度から始まった高校の英語科目である「英語コミュニケーションI」「英語コミュニケーションII」「論理・表現I」を出題範囲としており、そこからリーディングとリスニングの問題が出題されます。
まずは、共通テスト英語の基本情報について押さえておきましょう。
試験時間
共通テスト英語の試験時間は、リーディングが80分で、リスニングは30分です。
2025年の共通テスト英語は1月18日(土)に行われ、「地理歴史」「公民」と「国語」の後となる15時20分から16時40分までリーディングの試験が実施される予定です。
その後、17時20分から18時20分のうちの30分が、リスニングの解答時間として確保されています(それ以外の30分は機器の動作確認などに費やされる)。
配点
リーディングの大問数は全6問です
。各大問の配点は、第1問が10点(設問数:5)で、第6問が24点(設問数:9)など、大問ごとに差があります。
具体例として、2024年度の「令和6年度 本試験の正解」に記載されている設問数と配点は下記のようになっています。
2024年度共通テスト英語リーディング(本試験)の正解
出典:独立行政法人大学入試センター「令和6年度 本試験の正解」
一方、「令和6年度 本試験の正解」に記載されたリスニングの設問数と配点は、下記のとおりです。
大問数は、リーディングと同じく全6問となっています。ただし、配点は第1問が25点(設問数:7)と、大問の中で配点割合が最も高いことに注意してください。
2024年度共通テスト英語リスニング(本試験)の正解
出典:独立行政法人大学入試センター「令和6年度 本試験の正解」
共通テスト英語のリーディングは100点、リスニングも100点の計200点満点と設定されています。
共通テストの前身である「大学入試センター試験(以下、センター試験)」では、リーディングが200点、リスニングは50点の計250点満点だったので、リスニングの比率が上がっている点に注意しましょう。
難度
共通テスト英語の難度は、センター試験より上がっています。これは、「学力の3要素」のうちのひとつである「思考力・判断力・表現力」を重視するようになっているのがその理由です。
さらに、2025年は、新しい学習指導要領による「新課程入試」の初年度となっています。独立行政法人大学入試センターが2024年6月に公表した「令和7年度大学入学者選抜に係る 大学入学共通テスト実施要項」では、英語(外国語)についての変更点は明記されていないものの、より思考力や判断力などを重視する問題が出題される可能性があります。
具体的には、リーディングの第6問は長文読解となっており、高い読解力と理解力、思考力が求められる難度の高い問題です。また、リスニングの第5問は問題用紙中のワークシートを読んだ後に長文の音声が流れる構成となっており、比較的難度が高いとされています。
共通テスト英語のリスニングの学習手順
共通テスト英語のリスニングの学習は、ひたすら「聞く練習」だけをしていても不十分です。では、どのように学習を進めていけばいいのでしょうか。
ここでは、共通テスト英語のリスニングの学習手順についてご紹介します。
1. 日本語訳に頼らず長文読解の練習をする
まずは、英文の長文読解の練習から始めましょう。ポイントは、「日本語訳に頼らないこと」と「無理に日本語に訳そうとしないこと」です。無理に訳そうとすると、本文の意味をかえって読み取れなくなる場合があります。
普段、日本語訳に頼って英文を読んできていることが多いと、最初のうちは苦労するかもしれません。根気強く練習するようにしてください。
長文読解の勉強法の詳細は、下記のページで紹介しています。
大学受験英語の勉強法とは?基礎から上級までレベル別に解説<
2. 英文の音読の練習をする
続いて、英語の「音」に慣れるため、英文の音読の練習に着手します。音読は、最初はゆっくりとした速度で、簡単な文章で構いません。大切なのは、英文で書かれている「状況」をしっかりと理解しながら読んでいくことです。
何度も繰り返し読んで滑らかな発音ができるようになってきたら、少しずつ速度を上げて、最終的に共通テスト英語のリスニング音声のスピードと同じくらいにしていきます。
3. まとまった量の英文を読み、内容を覚える練習をする
英文の内容を理解しながら音読できるようになったら、次は一段落分の英文を音読し、テキストを閉じて英文を見ることなく、そこに書かれた内容を説明する練習を行ってください。
当然、英単語を一言一句間違えずに英文を覚えることは困難です。英文を覚えるのではなく、英文で書かれている状況(誰が何をしたのかなど)を覚えられるようにしましょう。
4. リスニングの練習に着手する
ここでようやく、リスニングの練習に着手します。練習のための題材は、共通テストやセンター試験の過去問のリスニング音声を使用してください。これらの音声は、大学入試センターや塾・予備校などのウェブサイトからダウンロードしたり、YouTubeで聞いたりすることが可能です。
さまざまなリスニング音声を並行して聞くのではなく、まずは同じリスニング音声を何度も聞いて、その内容を完璧に理解し、なおかつ第三者に正確に説明できるようにしましょう。
なお、リスニングの練習には、聞いているリスニング音声から1、2語遅れで、まったく同じ発音や速度で復唱する「シャドーイング」という手法が効果的です。
慣れてきたところで、実際の共通テスト英語のリスニングの設問と併せて練習します。習熟後、再生速度を1.25倍速に速めて練習するのがおすすめです。
共通テスト英語の対策
新課程入試により、思考力や判断力などが問われる共通テスト英語は、十分な対策が必要です。ここでは、リスニングを中心とした共通テスト英語の対策を解説します。
使える英単語の数を増やす
英文を読むとき、重要となるのは使える英単語の数です。反対に、英単語を知らなければ読解力を上げられないため、共通テスト英語のリーディングで出題されるような長文を読むことは難しいでしょう。また、リスニング音声の聞き取りも困難になります。共通テスト英語で高得点を取るためには、使える英単語の数を増やし続ける必要があるのです。
また、読む文章のレベルが高くなるにつれて、求められる英単語の数が増えていく点にも注意が必要です。 具体的には、英検3級レベル(中学卒業程度)だと1,500~2,000語程度ですが、英検2級レベル(高校卒業程度)では4,500~5,000語程度が目安として求められます。
状況を明確にイメージしながら読む
リーディングの英文読解の際には、「誰が何をしているのか」という状況をイメージしながら読むことを重視しましょう。これは、英単語を一つひとつ、日本語に置き換えながら読むのでは時間がかかりすぎる上、リスニングにも対応できないからです。
とはいえ、雰囲気でなんとなく読んでいては、複雑な文章を理解できません。文の構造や文章全体の展開を論理的に捉えながら、明確に状況をイメージしていくことが必要です。そのためには、英単語や英文法の知識が求められます。
英作文の練習を何度も重ねる
英作文の練習を何度も行うことは、英文を効率的に読んだり書いたりする際に役立ちます。新たに文法事項を学習した際、その文法事項を使ってノートで英作文を練習し、復習の際には口頭で英文を作れば、効率的に文法事項を身に付けられるはずです。そのようにして体得した文法事項は、リスニングでも役立ちます。
注意したいのは、英作文の際には「状況」をイメージしながら行うことです。「I make it big.(私はそれを大きくします)」といったように、文法としては正しくても状況がイメージできない文では意味がありません。「I’ll make my company big in the future.(私は将来的に会社を大きくするつもりです)」という文を作るように意識しましょう。
たくさんの英文を読む練習をする
共通テスト英語の長文読解に対しては、たくさんの英文を読んで、読解力を身に付ける練習が有効です。学校の授業で使う教科書や塾のテキストでは読解力を上げるためには量が足らなかったり、難しすぎたりする場合が多いので注意しましょう。
まずは、現状のレベルでスラスラと読めるレベルの文章からスタートし、少しずつ文章のレベルを高いものにしていきます。イメージとしては、数十本の英文を読んで、一段階レベルを引き上げるようなペースです。これを繰り返し、過去問の長い英文を読めるようにしてください。
また、リスニングにおいてもイラストや図表を用いた設問が出題されています。そのような設問を解く際にも読解力が求められるので注意が必要です。
内容を説明できるように本当の意味で音読する
英語の音読は、読解力や読解速度のほか、リスニング力を向上させるのに効果的です。
ただ、共通テスト英語対策としては、音読した後にその内容を説明できるレベルに達することが肝心です。音読をしても内容を理解できず、再び読み返さなければ説明できないのであれば、それは本当の意味で「読んだ」ことになりません。
本当に内容を理解できるように音読するには、主語と述語といった文の構造を意識しながら、ゆっくり読むことから始めましょう。
ピリオドごとに、その文がどのような内容だったのか説明する練習を行うことをおすすめします。
英語リスニングに苦手意識を持つ理由
共通テストに限らず、英語リスニングに対してなんとなく苦手だと感じる人もいるのではないでしょうか。ここでは、英語リスニングに苦手意識を持つ主な理由について解説します。
英単語・英文法の知識が不足していて英文を読めない
ある程度の長さの英文を読めなければ、英語リスニングも苦手に思うのは当然です。それは単に、英単語や英文法の知識が不足しているのが原因となっている場合があります。
英語リスニングや長文読解に対する苦手意識は、英単語や英文法の基本的な知識を蓄え、語彙を増やすことでカバーできるようになります。
英語を聞き慣れていない
英語リスニングは、英文の内容を耳で正確に聞き取ることが求められます。しかし、普段の生活で英語を聞き慣れていないと、英語の発音やアクセントを正確に認識することができません。
これは、英単語や英文法の知識がいかに備わっていても、それはあくまで英語の「文字」としての情報であり、英語の「音」の情報と紐づいていないのが原因です。
基本的に英語は、自分で発音できる単語のみが聞き取れます。英語リスニングに対する苦手意識を取り除くには、普段からリスニング音声などで英語の音を聞いたり、自分で発声したりして、英語に体(耳)を慣らしておく必要があります。
日本語訳をしようとしてしまう
中学校から日本語訳を中心として英単語や英文法を覚えていく勉強をしていると、どうしても英語を見て自然と日本語訳をしてしまいがちです。すると、リスニング音声のスピードについていけなくなったり、長文のリスニング音声で最初に聞いたことを忘れてしまったりする状況に陥ります。
英単語や英文を一つひとつ日本語訳しようとするのではなく、文章の状況をできる限り正確に捉えるようにするトレーニングを行いましょう 。
スピードについていけない
自分が発音できる英語しか聞き取れないように、自分の読解速度以上のスピードの英語を聞き取ることは困難です。リスニング音声が自分で読むときのスピードを超えていると、文章の意味を正確に捉えることは難しくなります。
リスニング音声のスピードについていけるようにするには、自分の英語の音読速度が、それと同等である必要があります 。例えば、YouTube動画のシャドーイングによって、音読速度を上げる練習を行いましょう。
英語のリスニングスキルを高める方法
英語のリスニングスキルを高めるには、どのような練習をすればいいのでしょうか。ここでは、英語のリスニングスキルを高める方法について解説します。
普段の生活から英語に慣れておく
英語のリスニングスキルを高めるには、常日頃から英語にふれ、目や耳を慣らしておく必要があります。英語のリスニング音声を聞くだけでなく、海外ドラマやニュースを英語音声と日本語字幕で見たり、スマートフォンの言語設定を英語に変えたりして、英語に対して慣れていきましょう。
知らない単語に出合ったら、「Google 翻訳」で発音のチェックと練習を行うのも効果的です。
シャドーイングに日々取り組む
シャドーイングは、英語のリスニングスキルを向上させるのに効果的です。耳に入ってくる英語を影のように追いかけながら発音するため、インプットとアウトプットを同時に行うことになり、リスニングスキルやスピーキングスキルの向上が期待できます。スマートフォンでYouTubeを視聴しながら行える気軽さもうれしいポイントです。
なお、使用する英文のレベルは、自分のレベルより若干低めのものから始めるのがポイントです。英文の内容が難しすぎたり、聞き取りスピードが速すぎたりすると、挫折してモチベーションを失ってしまうおそれがあります。また、英語の語彙は、ある程度増やしてから取り組むようにしてください。
英検®などの英語資格・検定試験を受けて練習する
英検®やTOEIC®などの英語資格・検定試験では、筆記試験とリスニング試験が設定されています。これらを受験することは、英語リスニングの実践的な練習となります。
さらに、このような英語資格・検定試験の合格級やスコアは、総合型選抜や学校推薦型選抜、英語外部検定利用入試で活用できます。獲得した合格級やスコア次第では、大きなアドバンテージになる可能性もあるのです。
英検®など外部検定の詳細は、下記のページで紹介しています。
大学受験で英検®取得は有利?利用方法とメリット、注意点を紹介
リスニングを含む共通テスト英語は、ディアロで対策しよう
共通テスト英語のリスニングは、センター試験と比べて配点が増えており、重要度が増しています。
英語のリスニングスキルを高めるためには、リスニング音声を聞き流しながらなんとなく練習するだけでは不十分です。シャドーイングを常日頃から行うとともに、英文に書かれた状況を明確にイメージしながら読んだり、内容をきちんと説明できるようにゆっくり音読したりして、英語のリスニングスキルの基礎となる英語力を養うようにしてください。
英語に限らず、共通テストに必要な基礎知識は、自分の言葉で人に説明することで定着していきます。人に説明すれば、表現力も同時に身に付いていくはずです。
ただ、同じ受験生同士でアウトプット学習を行うのには限界があります。アウトプット学習のノウハウがある大学受験専門塾でトレーニングするのがおすすめといえます。
大学受験ディアロは、トレーナーとの対話によるアウトプット学習を推進しており、英語による「1:1対話式トレーニングコース」を実施中です。また、英語外部検定利用入試対策として「英語資格・検定対策オプション」をご用意しており、英検については英検準1級まで対応した「英検対策コンテンツ」を使用しています。
なお、2024年度の大学受験ディアロでは、3つのカリキュラムをご用意しており、志望する進路に応じてお選びいただくことが可能です。
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監修
武田優士(たけだ・まさし)
株式会社ゼニス ディアロ運営部課長 兼 指導開発課課長。大学受験領域を専門として、学習塾の運営に2002年から20年以上携わる。以前は集団塾で、教壇に立ち授業・科目指導(英語)を担当したことも。現在は、ディアロのスクールを管轄するエリアマネージャーのほか、責任者として商品開発・公民事業・マーケティングに従事。
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