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大学入学共通テストの古文対策は?単語と文法、読解の勉強法を解説

最終更新日:2023-06-29

「大学入学共通テスト」は、2021年から始まったばかりの試験制度です。

古文に苦手意識があって、「大学入学共通テストの古文の対策はどうしたらいいのか?」と悩んでいる受験生もいるのではないでしょうか。

大学入学共通テスト「国語」の配点200点のうち、「古文」の配点は50点です。「国語」の4分の1の配点を占めていることから、古文の出題傾向を把握して、しっかり対策を立てたいものです。

そこで本記事では、大学入学共通テストの古文における出題傾向や難度のほか、単語・文法や文章読解の対策方法や対策スケジュールなどについて解説します。

大学入学共通テストは高校の学習の達成度を判定する試験

大学入学共通テストは高校の学習の達成度を判定する試験

2021年から開始された大学入学共通テスト(以下、共通テスト)は、高校の基礎学習の達成度を判定する試験制度です。共通テストは、毎年1月中旬の土日の2日間に全国一斉に実施され、2023年実施試験の志願者は約51万人でした。高校生の約2人に1人が受験する、日本の大学入試で最も大規模の試験です。

共通テストは、多くの国公立大学の合否判断材料となっていますが、近年は、私立大学でも「共通テスト利用入試」を採用し、共通テストの結果を合否判定に用いる大学が増えています。共通テストを一度受験するだけで複数の大学・学部に出願できることから、多くの受験生が利用しているのです。

共通テストの前身である大学入試センター試験(以下、センター試験)は、1990年から2020年まで30年間実施されました。共通テストはセンター試験よりも「思考力」「判断力」「表現力」を重視する内容に変わり、公式や解法などの丸暗記では、正答に結びつきにくい問題が多くなっています。

大学入学共通テストの古文の出題内容

大学入学共通テストの古文の出題内容

共通テストの古文は、「国語」の科目で出題されます。ここでは、国語の試験実施日や出題形式、問題構成についてご紹介します。

実施日

国語は、共通テスト1日目に実施され、試験時間は80分。配点は「現代文」100点、「古文」50点、「漢文」50点の計200点です。私立大学入試で利用する場合、現代文のみ(100点満点)や、現代文+古文(150点満点)で受験するケースもありますが、いずれも制限時間は一律80分です。どの入試方式で利用するかによって、一題あたりの解答に使える時間はだいぶ変わってくるでしょう。

■共通テストの国語の実施内容

試験時間 教材 解答時間 配点
13:00~14:20 国語 80分 200点(※)

※点数の内訳は、近代以降の文章(2問100点)、古典(古文(1問50点)、漢文(1問50点))

出題形式

共通テストの古文は、全問マークシート形式です。解答の塗り間違いには、よく気をつけましょう。
古文の1問あたりの選択肢は、4~5つとなっています。「文法問題」と「読解問題」は、選択肢が長文のことがほとんどであるため、読み間違いをしないよう注意が必要です。

問題構成

共通テストの国語では、「評論」「小説」「古文」「漢文」の大問4問が出題され、配点は各50点です。
古文は第3問で、例年「語彙問題」「文法問題」「読解問題」が出題されています。下記は、2023年実施試験の問題構成と配点です。古文は、問1「語彙問題」が15点、問2「文法問題」が7点、問3「読解問題」が7点、問4「読解問題」が21点でした。

■2023年実施試験 国語「古文」の問題構成

大問 出題分野 配点
第1問 近代以降の文章(評論) 50
第2問 近代以降の文章(小説) 50
第3問 古文
問1 語彙問題
問2 文法問題
問3 読解問題
問4 読解問題
50
内15点
内7点
内7点
内21点
第4問 漢文 50
合計 200

ここからは、令和4年(2022年)実施試験問題を例に、古文で出題される「語彙問題」「文法問題」「読解問題」を、それぞれ詳しく確認していきましょう。

語彙問題

問1は、本文を読んで、傍線部の意味を選択肢の中から選ぶ語彙問題です。基本的な古語のインプットは大前提ですが、それだけでは解けません。例えば「ねびととのふ」(「成長して立派になる」の意)を知っている受験生はほとんどいないでしょう。その上で、本文全体の状況をしっかり理解し、この人物の様子を推測する必要があります。

また古語の知識に文法的な知識を組み合わせ、その上で本文全体の状況に合わせて考えさせる問題もしばしば出題されます。古語の意味を知っているだけで解ける問題は、実はむしろ少数派なのです。

独立行政法人大学入試センター「令和4年度 本試験の問題 国語」(2022年1月)

出典:独立行政法人大学入試センター「令和4年度 本試験の問題 国語」(2022年1月)
https://www.dnc.ac.jp/albums/abm.php?d=67&f=abm00000839.pdf&n=R4%E5%95%8F%E9%A1%8C_%E5%95%8F%E9%A1%8C_%E5%9B%BD%E8%AA%9E.pdf

文法問題

2022年実施試験の問2・問3は、傍線部の文法と内容を問う文法問題でした(2023年実施試験の問3は読解問題)。
共通テストでは、古文が得意な受験生でも苦戦するような難解な文にしばしば傍線が引かれます。このような設問は、実は選択肢がヒントになっています。各選択肢の正誤を判断しながら文全体の解釈を考えていきましょう。助動詞や敬語といった基本的な文法知識と古文単語の知識を組み合わせ、本文全体の状況に合わせて文の解釈を考えれば、解答を導くことが可能になります。

出典:独立行政法人大学入試センター「令和4年度 本試験の問題 国語」(2022年1月)

出典:独立行政法人大学入試センター「令和4年度 本試験の問題 国語」(2022年1月)
https://www.dnc.ac.jp/albums/abm.php?d=67&f=abm00000839.pdf&n=R4%E5%95%8F%E9%A1%8C_%E5%95%8F%E9%A1%8C_%E5%9B%BD%E8%AA%9E.pdf

読解問題

問4の読解問題は、登場人物の心情や理由説明の問題が出題されました。共通テストの古文には、本文と関連する別出典の文章が引用される設問があります。実は古文に限ったことではなく、共通テストの国語では「文章解釈についての会話」が設問内によく登場するのです。
このような設問では、別出典の文章をヒントに本文を解釈する、反対に本文をヒントに別出典の文章を解釈する、さらに会話をヒントに2つの文章を解釈するといったように、複数の文章を関連付けて解釈する能力が問われます。
2022年、2023年実施試験ともに、下記のように本文を読んだ後の教師と生徒が話し合う様子を読み、選択肢の中から穴埋めする問題が出題されています。共通テスト独特の問題形式であるため、慣れが必要といえるでしょう。

独立行政法人大学入試センター「令和4年度 本試験の問題 国語」(2022年1月)

出典:独立行政法人大学入試センター「令和4年度 本試験の問題 国語」(2022年1月)
https://www.dnc.ac.jp/albums/abm.php?d=67&f=abm00000839.pdf&n=R4%E5%95%8F%E9%A1%8C_%E5%95%8F%E9%A1%8C_%E5%9B%BD%E8%AA%9E.pdf

大学入学共通テストの古文の難度

大学入学共通テストの古文の難度

共通テストの古文は、全体的に難度が高いとされています。まずひとつめの理由として、下記の表のとおり受験生が今までに読んだことのない文章が出題されることがほとんどだからです。
教科書に掲載されているような、枕草子の「春はあけぼの」や源氏物語の「夕顔」といった、有名な文章はまず出題されません。つまり、内容を知らない文章を読んで、内容を理解していく必要があるのです。各設問で見てきた通り、単語や文法知識を必要としながら、それだけで解ける問題がほとんどないことも難度を高くしている理由といえます。

■大学入学共通テストの古文の出題内容

入試年度 出題 ジャンル 備考
2021年実施試験 「栄花物語」 歴史物語 歴史物語の出題は25年ぶり
2022年実施試験 「増鏡』
「とはずがたり」
歴史物語 問4に、教師や生徒の本文に対する発言を読み、答える問題が新たに出題
2023年実施試験 「俊頼髄脳」 歌論 歌論の出題は、2018年実施センター試験以来

2023年実施試験は、平安時代後期に源俊頼が書いた歌論書「俊頼髄脳(としよりずいのう)」が出題され、難度は前年並みでした。しかし問4は源俊頼が書いた「散木奇歌集(さんぼくきかしゅう)」から連歌とその詞書(※)が引用され、掛詞(かけことば)を踏まえた解釈が必要となりました。この設問のような和歌の解釈は、受験生が苦手としやすい問題です。文法や和歌の修辞法、さらには本文全体の状況を踏まえて和歌を解釈する練習を重ねていなかった受験生は、手も足も出なかったのではないでしょうか。
※詞書(ことばがき)とは、和歌や俳句の前書きのこと

難度が高い最大の理由は、文章自体のレベルが非常に高いことです。純粋に文章だけで見ると、最難関私立大学の入試問題に匹敵するレベルの文章も共通テストには出題されます。
つまり、読んだことのない非常に難解な文章を、単語や文法知識をフル活用した上で、設問や各選択肢をヒントにしながら解釈していかなければならない、というのが共通テストの古文の難しさなのです。

大学入学共通テストと大学入試センター試験の古文の違い

大学入学共通テストと大学入試センター試験の古文の違い

1990年から導入された「大学入試センター試験」は、2021年実施試験から「大学入学共通テスト」に名称が変わりました。国語の問題にどのような変化があったのか、確認しておきましょう。

出題形式

センター試験では、1つの大問につき1つの文章からの出題でした。しかし、共通テストでは、2~3つの文章から出題され、センター試験時代にしばしば見られたような、非常に長い文章は見られなくなりました。
さらに共通テストでは、前述のように複数の文章を関連付けて読解させる問題が登場しています。文章量が大幅に増えた英語と比べれば、それほど違いがないようにも見えますが、実は問われる読解力のレベルは一段上がったといってよいでしょう。

問題構成

問題構成は、センター試験は問6まであったのに対し、共通テストは問4までと設問数は少なくなっています。センター試験では毎回出題されていた「文法の知識」を問う問題はなくなり、文法は読解と結びつけて解答する問題が出題されるようになりました。
「読解問題」で出題される教師と生徒の会話形式の問題など、一見、難しそうに感じるかもしれませんが、落ち着いて会話を読み取れば、解答のヒントを見つけられるはずです。

配点

古文の配点は、センター試験も共通テストも、満点が50点であることは変わりません。各設問の配点は、センター試験では、問1が15点、問2が6点、問3~5が各7点、問6が8点でした。一方、共通テストは、問1が15点、問2・3が各7点、問4が21点です。

センター試験も共通テストも、一貫してマーク数は8題です。国語全般に言えることですが、他科目と比べてマーク1つあたりの配点は高くなっています。選択肢一つひとつを慎重に、確実に選んでいきましょう。また、マークミスにも十分注意したいところです。

試験時間

センター試験も共通テストも、国語の試験時間は80分と変わりません。
現代文・古文・漢文のすべてを受験すると、大問1つあたり使える時間はわずか20分です。現代文の文章量や選択肢の複雑さを考えると、古文や漢文にかけられる時間はさらに短くなります。

基本的な単語や文法を思い出すのに、時間を使ってしまうことが案外よくあります。1つについて十数秒だとしても、それが10個もあれば約2分です。古文の解答に使える時間を考えると、この2分は大きな意味を持つでしょう。すぐ確実に答えられるレベルの基本問題についてはしっかり押さえておき、無駄に時間を費やしてしまわないことが大切です。

難度

国語の科目全体で、共通テストはセンター試験に比べて難度が上がっています。というのも、センター試験では平均点が6割になるように出題されていましたが、共通テストでは平均点が5割になるように出題されているためです。

センター試験時代から比較的難度が高い設問が多かった古文は、共通テストになってさらに求められる読解力が上がりました。難関私立大学の入試問題に匹敵するレベルの文章が出題されるのに加え、複数の文章を参照したり、和歌の比喩表現を解釈したりといった複雑な設問も登場しています。

学習指導要領変更に伴う2025年の共通テストの変更

学習指導要領変更に伴う2025年の共通テストの変更

2022年度の高校入学者(2022年4月入学者)から、学習指導要領が変更されています。学習指導要領とは、文部科学省が定めた授業のカリキュラムのことです。つまり、2022年4月に入学した高校1年生から教科(科目)や学習内容が変更になります。

これに伴い、2025年から、共通テストも新学習指導要領に合わせて、試験内容が変更される予定です。また、出題教科・科目に「情報」が新設され、「地理歴史」「公民」「数学」「理科」の教科で科目の枠組みが変わり、「6教科30科目」から「7教科21科目」になります。なお、新設の「情報」は、国立大学では、原則受験必須の科目になります。詳細は下記を参考にしてください。

■新学習指導要領での共通テストの変更点

教材 グループ 2024年まで 2025年から
国語   「国語」 「国語」
地理歴史   「世界史A」
「世界史B」
「日本史A」
「日本史B」
「地理A」
「地理B」
「地理総合、地理探究」
「歴史総合、日本史探究」
「歴史総合、世界史探究」
「地理総合、歴史総合、公共」
「公共、倫理」
「公共、政治・経済」
公民   「現代社会」
「倫理」
「政治・経済」
「倫理、政治・経済」
数学 数学(1) 「数学I」
「数学I・数学A」
「数学I」
「数学I・数学A」
数学(2) 「数学II」
「数学II・数学B」
「簿記・会計」
「情報関係基礎」
「数学II、数学B、数学C」
※数学B、数学Cは、各2項目出題のうち3項目を選択回答
理科 理科(1) 「物理基礎」
「化学基礎」
「生物基礎」
「地学基礎」
「物理基礎、化学基礎、生物基礎、地学基礎」
※いずれか2科目の内容を選択解答
「物理」
「化学」
「生物」
「地学」
理科(2) 「物理」
「化学」
「生物」
「地学」
外国語   「英語」
「ドイツ語」
「フランス語」
「中国語」
「韓国語」
「英語」
「ドイツ語」
「フランス語」
「中国語」
「韓国語」
情報     情報I

出典:文部科学省「新学習指導要領に対応した令和6年度に実施する大学入学共通テストの出題教科・科目について」(2022年3月)(https://www.mext.go.jp/content/20210621-mxt_daigakuc02-000016052_9.pdf

国語は、科目の枠組みは変わりませんが、大問が4問から5問になり、試験時間は80分から90分になる予定です。具体的には、近代以降の文章(現代文)が2問から3問に増えます。一方で、古典(古文・漢文)の変更はなく、各1問の予定です。近代以降の文章の大問が1問増えるのは、より多様な文章を扱うことで、多方面から資質・能力を評価するのが目的だといわれています。

■2025年実施試験「国語」の問題構成

大問 出題分野 配点
第1問 近代以降の文章 45
第2問 近代以降の文章 45
第3問 近代以降の文章(新設) 20
第4問 古典(古文) 45
第5問 古典(古文) 45
合計 200

大学入学共通テストの古文の対策スケジュール

大学入学共通テストの古文の対策スケジュール

共通テストの古文で高得点を狙うためのスケジュールとしては、共通テストまでの9ヵ月を、3つの期間で区切るのがおすすめです。

【高校3年生・1学期】インプット学習~基礎力強化~

【高校3年生・夏休み】アウトプット学習1~文章読解の練習~

【高校3年生・2学期~】アウトプット学習2~共通テスト実践演習~

ここでは、高校3年生の期間ごとに、効果的な勉強のコツをご紹介します。

【高校3年生・1学期】インプット学習~基礎力強化~

1学期は、古文単語や文法、古文常識を「インプット学習」し、基礎力強化を目指します。
古文は英語のように、単語の意味がわからなければ文章を理解することはできません。単語の暗記は、通学時間を利用して「10分間で10個単語を覚える」というように、短い時間でノルマを設けて取り組むと効果的です。共通テストの古文は難関私立大学入試問題に匹敵するレベルの文章が出題されるため、安定して得点するためにはそれ相応のレベルの単語力が不可欠といえます。

単語を覚えるのと同時に、文法も身につけていきます。単語がわかっていても文法がわからなければ、文章を正確に理解できないからです。参考書で文法を理解した後で、練習問題を解いていきます。間違った問題はそのままにせず、繰り返し解くことが高得点への近道です。

単語も文法も地道に取り組むことで着実に力が身につきますが、「古文常識」も身につけておくことが重要です。古文は日本で書かれた文章ではありますが、書かれた時代が違います。「そんなの当たり前じゃないか」と思うかもしれませんが、時代が違うということは、現代の私たちとは生活様式や常識が大きく異なるということ。現代の感覚のまま古文を読み進めたために、解答を誤ってしまうおそれもあります。書かれた当時の生活や常識をしっかり把握しておくことで、文章の理解も深まるでしょう。

【高校3年生・夏休み】アウトプット学習1~文章読解の練習~

夏休み以降は「アウトプット学習」に移っていきます。単語や文法などの基礎力を使い、実際に古文読解の練習をしていくのです。共通テストの古文の難度はかなり高いので、いきなり挑戦すると挫折してしまうかもしれません。やさしめの問題集や、それほど難しくない私立大学入試の過去問などから始めることをおすすめします。

最初のうちは時間を決めずに、単語や文法知識を使いながら正確に読み取っていくことを優先しましょう。読み取りができるようになってきたら、少しずつ時間を縮めながら、時間を縮める前と同じぐらい正確に読み取れるように練習していきます。

【高校3年生・2学期~】アウトプット学習2~共通テスト実践演習~

2学期からは、共通テスト本番に向けて実践演習を繰り返し行います。
単語や文法をしっかり覚えていても、思うように点数が伸びないこともあるでしょう。しかし、焦ったり落ち込んでしまったりする必要はありません。どんな人でも勉強してから成果が出るまでには、時間がかかるものです。点数が伸びないときでも冷静に弱点を見つけ、着実に対策をし続けることが重要です。

また、繰り返し過去問題を解いたり、共通テストに対応した模試を受けたりして、時間配分やミスしやすいポイントなどを把握するようにしてください。実践演習を繰り返して、自分にとっての最適な解答順、ミスしないためのルールなどを決めておくのがおすすめです。

大学入学共通テストの古文の対策

大学入学共通テストの古文の対策

共通テストの古文は、これからご紹介する4つのステップで学習をすると効果的です。ステップごとに対策をご紹介していきます。

1. インプット学習

古文単語と文法、各時代の古文常識を「インプット学習」することから始めます。それぞれのインプット方法は、下記のとおりです。

古文単語

共通テストの古文で必要とされる単語は400~500語です。一見すると多いと思うかもしれませんが、共通テストの英語で求められる語彙数は2,000語程度、難関私立大学では6,000~9,000語といわれています。つまり、英単語と比べると、古文単語ははるかに覚える単語数は少ないのです。

また、古文単語を覚えるときには、「単語のイメージをつかむ」のがポイントです。というのも古語には、1つの単語で複数の意味を持つ場合があります。例えば、「かたはらいたし」という単語には、「見苦しい」「気の毒だ」「恥ずかしい」という意味があります。3つの意味を丸暗記するのは案外、難しいものです。そこで「かたはらいたし」を「傍(にいて)痛し」と変換し、「そばにいるとつらい」と覚えておきます。すると、丸暗記するよりも「見苦しい」「気の毒だ」「恥ずかしい」の意味が定着しやすくなるはずです。

文法

単語を暗記しただけでは、古文の文章はほとんど理解できません。単語だけでなく文法を暗記しておくことが、文章を読み解くにあたり重要です。古文の文法にはさまざまなものがありますが、下記の順番で暗記するのがおすすめです。

<覚えやすい古文の文法の暗記順序>
(1)活用語の活用:未然形、連用形、終止形、連体形、已然形、命令形
(2)助動詞:「る」「らる」などの助動詞の種類、接続の種類、活用・意味
(3)重要な助詞:格助詞、接続助詞、係助詞、終助詞、副助詞(現代で使われていない、もしくは意味が異なる助詞)
(4)敬語:尊敬語、謙譲語、丁寧語

文法の中でも、特に受験生が見落としがちなのが(4)の敬語です。
古文は「誰が」(主語)や「誰に対して」(動作客体)を省略することが多いために、読解が難しいといわれています。そこで活躍するのが敬語です。実は主語や動作客体は「どんな敬語が使われているか」で判断できるケースが多いのです。つまり、敬語を習得していれば、古文は読解しやすくなります。さまざまな敬語があるため、助動詞と同じようにしっかり暗記するようにしましょう。

文法の暗記は、声に出して覚える方法が効果的です。また、問題集の「助動詞の識別」や「敬意の対象の判定」などの問題を徹底的に反復して解くと、知識が定着しやすくなるでしょう。
しかし、文法を覚えるだけでは、文章読解はできません。文法は一文一文を理解するための、いわばツール(道具)です。文法を覚えても、文章読解で使えなければ、宝の持ち腐れになってしまいます。文法を覚えたら、必ず多くの古文も読むようにしてください。

各時代での古文常識

単語や文法を理解しただけでは、古文を正確に読み解くことはできません。現代の常識のまま古文を読んでしまうと、文中の出来事を誤って理解してしまうことがあるからです。古文を正確に理解するには、古文に書かれている時代の常識(出家や恋愛、生活環境など)を知っておくことが重要です。
速読古文常識」(仲光雄/Z会)のような「古文常識」系の参考書、または学校で配られる「国語便覧」で古文常識をインプットしてください。

2. アウトプット学習

インプット学習で身につけた知識を定着させるためには、「アウトプット学習」が欠かせません。繰り返し問題集を解いて、苦手な分野をなくすことを目標にします。このとき、「ただ問題を解く」のではなく、それぞれの文法は「どのようなとき」に使うものなのかを理解し、整理しながら問題に取り組むのがおすすめです。特に、「ぬ」「なり」といったさまざまな意味を持つ語の識別は、古文の文章読解では非常に重要です。それぞれの識別するポイントを押さえて、正確に意味を把握できるようにしてください。

文章読解の問題では、文章全体のつながりを把握できること、登場人物の行動や心情などを整理しながら全体の状況を理解することが重要です。特に最初のうちは制限時間を決めず、一文一文、単語や文法、古文常識を活用しながら、丁寧に文脈を読み取っていきましょう。「読み取れた」と思っても、意外と読み取れていないことも多いものです。この文章はどのような話なのか、人に教えるようなつもりで説明してみてください。

人に説明できるレベルまで読解できるようになると、本番の試験でも十分に通用する文章読解力が身につけられます。このとき、文法や単語、古文常識などの知識に触れながら説明(プレゼンテーション)すると、より知識が定着しやすくなり、読解にも的確に活かせるようになります。

ただし、「人に教えるようなつもりで説明する」といっても、1人ではなかなかうまくいかないのが現実です。
大学受験ディアロでは、生徒がZ会映像授業を使って事前に学んできた内容を、トレーナー(講師)に説明する「1:1対話式トレーニング」をご用意しています。
「1:1対話式トレーニング」は、アウトプット学習の効果を最大限に高めます。それだけでなく、トレーナーからのさまざまな質問に答えていくことで、さらに深い理解や新しい気づきを手に入れ、1人で学習するだけでは届かないレベルの理解度に到達できるのです。
オンラインでの受講もできるので、教室が近くにない場合にもおすすめです。

「1:1対話式トレーニング」の詳細は、下記のページで紹介しています。
映像×1:1対話式トレーニングコース

3. 共通テストの形式に慣れる

過去問や予想問題などの問題を解き、共通テストの形式に慣れていきます。共通テストの古文には、問題を解くときのポイントが3つあります。それぞれ確認していきましょう。

注釈とリード文を読む

共通テストの古文では、本文の前にリード文と、一部の語句に対する注釈があります。リード文には背景となる人間関係や状況などが書かれているため、本文を理解するためのヒントになります。また、注釈には、難しい語句の現代語訳や補足が書かれているので、本文を理解するために活用しない手はありません。リード文と注釈は、本文を理解するための補助となります。必ず活用しましょう。

■リード文と注釈の例

独立行政法人大学入試センター「令和4年度 本試験の問題 国語」(2022年1月)

出典:独立行政法人大学入試センター「令和4年度 本試験の問題 国語」(2022年1月)
https://www.dnc.ac.jp/albums/abm.php?d=67&f=abm00000839.pdf&n=R4%E5%95%8F%E9%A1%8C_%E5%95%8F%E9%A1%8C_%E5%9B%BD%E8%AA%9E.pdf

本文より先に問題文を読む

問題に取りかかるときには、先にすべての問題文を読んでから本文を読みましょう。問題には本文の流れや起こったことなどが書かれている場合があり、先に読むことで、本文の内容をある程度把握できるからです。ほとんど情報がないまま本文を読むよりも、ある程度内容を理解しているほうが、当然、本文の理解は深まります。また、問題を先に知ると、本文を読むときに問題に関連するポイントがわかるため、効率的に本文を読むことができます。

各設問の解き方を練習する

設問で「◯◯とあるが、このときの言動(心情)の説明として最も適切なものを選べ」とあるとき、問題文の中にヒントがある場合があります。問題文の「◯◯」に正解につながる言葉が入っていることがあるため、しっかりチェックするようにしてください。
また、選択肢から選ぶ問題はいずれも、ある程度まで消去法で正解の選択肢を絞り込むことができます。本文と選択肢をしっかり読み、わずかな矛盾がないかを突き詰めていく練習も効果的です。

4. 客観的な自己分析からの作戦立て

最後に重要となるのが、客観的に自己分析をして本番に向けた作戦を立てていくことです。自分の実力や傾向を分析して、自分の力を最大限に発揮できる方法を考えていきます。
古文の作戦を立てる前に、まず共通テストの国語全体の作戦が必要です。国語は、現代文2問・古文1問・漢文1問を80分で解く必要があります。それぞれの大問を何分で解くのか、大問ごとの目標点数といった目標を立てるのです。そして古文の小問ごとの時間配分、目標点数を設定していきます。

また、受験勉強の中で、共通テストの国語にかける時間について計画を立てることも重要です。特に、国立大学理系を志望する場合には、国語の勉強時間をよく検討する必要があります。
しかし、自分で実力や傾向を分析し、作戦を立てながら対策するのは簡単ではありません。より客観的に学力や傾向を分析するには、学校や塾の先生に相談するといいでしょう。

大学入学共通テストはディアロのアウトプット学習がカギになる

大学入学共通テストはディアロのアウトプット学習がカギになる

共通テストの古文は、まずは単語や文法、古文常識をインプットすることが重要です。しかし、それだけでは足りません。実際に文章を読みながらアウトプット学習を行い、読解力を身に着けていく必要があります。それでも、ただ単に読むだけで「わかったつもり」になってしまっているケースもよく見られます。

そこでおすすめなのが、大学受験ディアロの「1:1対話式トレーニング」です。トレーナー(講師)の前で自分が内容を説明することで、アウトプット学習の効果を最大化することが可能です。また、自分に合った学習方法や試験を受ける際の戦略など、さまざまな相談も気軽にできます。
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■監修

武田優士(たけだ・まさし)

武田優士(たけだ・まさし)
株式会社ゼニス ディアロ運営部課長兼指導開発課課長。大学受験領域を専門として、学習塾の運営に2002年から20年間携わる。以前は集団塾で教壇に立ち、授業・科目指導(英語)を担当したことも。現在は、ディアロのスクールを管轄するエリアマネージャーのほか、責任者として商品開発・公民事業・マーケティングに従事。

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