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2020年度大学入試新テスト
【国語編】何が違うの?2020年度大学入試新テストとは
2020年度 大学入試新テストの国語の相違点
これまでのセンター試験「現代文(評論と小説)古文、漢文」の4つの大問についてマークシート方式で問うものでした。
出題形式としては「次の選択肢から本文に合う内容を選べ」という問題が多く、「必ず正解が(一つだけ)存在する」という大前提がありました。問題文のなかにある誤りをいかに早く見つけるか・・・、20世紀の日本の教育は、この競争だった、と言っても過言ではないかもしれません。
比較して、新テストでは「記述問題」が加わる、というところが大きな変更点となります。
これまでの入試と何が違うかを一言で言うと
ポスト工業社会を迎えて、「これまでにないものを生み出す」。「大きなイノベーションを起こすこと」が、必要とされる時代となった、ということです。「これまでにないものを生み出す」ことが求められているのに、問題文の中にある誤りを素早く見つける教育、というのはもはや時代遅れ、そういうことなのです。
さて、では実際にサンプル資料を見てみましょう。
大学入試センターが発表したサンプル試験問題を解説
引用元:独立行政法人 大学入試センター
上記の資料は大学入試センター(センター試験を作っている団体)がサンプルとして作成したものです。
架空の資料は行政の景観保存ガイドラインや企業との契約書という身近なテーマを用いています。具体的な設問は「会話から読み取ることができるガイドラインの問題点を20字以内で述べよ」や「契約書に対しての質問を40字以内で述べよ」といったものです。
<設問例>会話文中の傍線部「一石二鳥」とは、この場合街並み保存地区が何によってどうなる
ことを指すか、「一石」と「二鳥」の内容がわかるように四〇字以内で答えよ(ただし、句読点を含む)。
<正答例> 問1 景観を守るガイドラインによって,治安が維持され観光資源として活用されること。(38 字 )
また「『 ~という是非』という文末で終わるように書くこと」など回答条件が書かれているものが多いことも特徴になります。
社会科の資料読み取り問題と似ているが、採点基準から論理的に文章をまとめる表現力が重視されていることが分かります。
なぜ上記のような問題になったのか
架空の行政機関が広報を目的として作成した資料等を題材として用い,題材につい て話し合う場面や異なる立場からの提案書などを検討する言語活動の場を設定する ことにより,テクストを場面の中で的確に読み取る力,及び設問中の条件として示された目的等に応じて表現する力を問う、という趣旨となります。
「正答例」はありますが、「唯一の正解が存在するわけではない」ということが「問」となっている、というところが大きなポイントで、これは、世の中に実際に起きている問題、発生している課題が、すべて、「唯一の正解が存在しているわけではない」ということと同じです。考える力、生きる力を本当の意味で育みたい、という国の方針が入試問題に反映されたということだと言えるでしょう。